

サカナは、想像以上に複雑な行動や高度のコミュニケーションと学習能力を持っています。我々の研究で大脳新皮質に相当する構造が存在する可能性すら明らかになっています(Yamamoto et al., 2007,2008など)。サカナがどのようにして周囲の環境を把握するのかを理解するために、感覚器や脳内の感覚処理回路を調べています。現在は萩尾特任助教が中心となって、マハゼを水産魚種のモデルとして研究しています。キンギョなどでは大脳への視覚回路が2つあるのに、マハゼでは1つしかないことがわかりました(Hagio et al., 2018,2021)。1つに集約して処理速度を高めるメリットがあるのかもしれません。視覚刺激に対する応答なども今後調べていきます。トランスジェニックメダカやゼブラフィッシュを使った視覚系の研究も準備中です。
変わった行動を行うサカナはたくさんいますが、その仕組みはほとんどわかっていません。現在我々は以下の種に注目しています。
1)背鰭の先端が特殊化したゴカイ状のもので小魚
をおびき寄せて捕食するカエルアンコウの仲間
(我々は“釣り行動”と呼んでいます)
2)砂と一緒に餌を飲み込み口を動かして、餌だけ選り分けて食べるハゼの仲間
(我々は“もぐもぐ行動”と呼んでいます)
3)自分の意思で動かせるヒゲを使って、砂の中の餌を探して捕食するヒメジの仲間(この行動の呼び名は考え中)
これらの行動にどのような神経回路や筋肉が関わるのか調査中で、仕組みがわかりつつある種もいます。他にも特殊な行動はたくさんあり、今後取り組んで行く予定です。
また、繁殖に成功するためには産卵を行うべき正しい場所に行き、異性を認識して種固有の繁殖行動を行います。感覚を処理して適切に判断することでこのような行動が初めて可能になります。つまり、水産資源や生物多様性の保全のために何をなすべきかを考える上でも神経系の研究は重要です。このような視点から、水産重要魚のウナギについても調べています。
今後もさまざまな合目的的行動を生み出すサカナの神経系の理解を目指します。長年魚類神経系と行動の研究を行ってきたベテランの山本と若手の萩尾が、学生のみんなと一緒に楽しみつつ頑張っています。一緒に研究してみたい方は気軽に研究室を訪問してください。まずは、e-mailにて山本までご連絡ください(nyama_agr.nagoya-u.ac.jp _には@を入れてください)。
阿部グループでは、メダカ・フグ・キンギョなどを用いて、魚が繁殖期や化学刺激に応じて嗅覚・視覚・行動をどのように変化させるのかを研究しています。特に、神経ペプチドによる感覚情報処理の調節や、フグがフグ毒テトロドトキシンに似た物質(類縁体)を匂いとして感知する仕組みに注目しています。
電気生理、イメージング、行動実験,分子生物学、細胞実験に興味のある学生を歓迎します。
後藤麻木 助教
Asst. Prof. GOTO, Maki, D.Agr.
哺乳類(特に齧歯類)の生物時計。特にメラトニン合成関連の研究に始まって、カエルの行動リズム、メダカの時計遺伝子などに手を出してきましたが、現在の興味は下等脊椎動物のメラノプシン、発音(コミュニケーション)関連遺伝子などに移ってきています。
